2006年2月28日
皆様はちょっと前にあった大雪、憶えていますか?
名古屋では戦後最大の降雪だったんですけど、
それも頷けるほどにホント寒かったですよね。
話は少し変わりますが、実は我が家の階段は外階段なので、
たまにネコがやってきます。
最近よく来ていたのが真っ白なネコ(♀)。
名前は不幸にも太郎(笑)
このネコは隣の家で子供を産んでいきました。
そして自分は家出したんです。
せっかく隣のおじさんが太郎って名前までつけてくれたんだし、
子供と一緒に溜まっていれば良かったのに、
自由と引き換えにして、家を失いました。
そんなわけで、宿なしの野良ネコである太郎は、
頻繁に我が家の階段に来てエサをもらったり、
お風呂の排気口の近くを陣取って暖をとったりしていました。
太郎は冬の雨に濡れてビショビショだったこともありました。
本来、ネコなんてそういう生き方をするものなんだけど、でもかわいそうです。
ノミやウィルスを持っているかもしれないので
部屋には入れてあげられないから、
温かいミルクをあげて、ガラスごしに見ていたりしました。
この太郎が何故太郎だと分かるかというと、それは顔です。
普通は毛並の模様とかがポイントですが、ヤツは真っ白。
手がかりが少ないわけです。
それでも分かるのは、顔がティモ・コティペルトにそっくりだから(笑)
メスネコなのに、ヘビメタバンドのボーカル(もちろん男)に似てるなんて、
なんの因果かオスくさいメスネコです。
その太郎が、あの大雪を境に家に来なくなってしまいました。
人なつこいとは言えないかもしれませんが、全然オレが近付いても逃げません。
そんな太郎でしたから、なんとなく情もうつってきていました。
もしかしたら死んじゃったのかな?
すこし心配になります。
昔からネコは独りで死ぬと言われてきまました。
まるで死を悟ったかのように出て行き、そして二度と帰らないのです。
それは日本の美学にマッチしていたせいで、
ネコの神秘性に拍車をかけていました。
居なくなったのは寂しいですが、忌まわの際を見ていないので、実感も湧きません。
もしかしたらもっといい飼い主を見つけたのかな?
そんな淡い期待を持ちながら、少しずつ悲しみを忘れていきます。
実際のところはというと、ネコは死にに行ったのではなく、
敵にも味方にも、誰にも会わなくてすむ秘密の隠れ家に療養に行ったに過ぎません。
そこで立ち直れなかったから、戻ってこなかったのです。
そんな事実を知っているせいで、余計に太郎の行方が気にかかりました。
そんな折り、太郎がひょっこりと階段に現れました。
真っ白な、珍しくもなんともないネコ。
でも太郎です。
だって顔がコティペルトだから。
太郎は生きていてくれました。
なんだかホッとしました。
警戒しながら、でも逃げることもなくガラス越しに見つめてきます。
いつもどおりです。
しばらくして太郎は去りました。
太郎は生きていました。
そんなつもりはサラサラないんだろうけど、
生きてることを教えに来てくれたかのように見えました。
今日も宿のない太郎。
どこかの家の中、公園、駐車場、
それとも秘密の隠れ家で寝ているのでしょうか?
それは分かりません。
ただ、オレはそんな太郎のことを想いながら過ごしたせいか、
もうすぐ寒い冬が終わることが、なんだか嬉しいのです。
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