2005年7月24日
数字のマジックというのはたくさん世の中に溢れています。
一番有名なものといえば、ねずみ講というやつではないでしょうか?
悪徳商法の手口で一般化した言葉だと思いますが、要するに倍々になっていくあれです。
なぜあれが破綻した論法なのかというと、増加率が半端じゃないからです。
ウイルスとかがねずみ講で商売をしたのなら、詐欺にはならないかもしれませんが
人間相手では仕組みとしてちょっとあり得ないのです。
仮に自分が4人の人を勧誘したとしたら1人につき1000円。
その4人が各々で4人ずつ勧誘したら、1人につき半額の500円。
その繰り返しで・・・ほらあなたはお金持ちになれます。
確かに理論的には嘘はついていません。
ですが、ゆっくりに見えるこの増加も鰻上りに増加率が増えます。
4、16、64、256、1024、4096、16384、65536、
262144、1048576、4194304、16777264、
67108864(日本人の約半数)、
268435456(アメリカの人口を突破)、
1073741824(インドの人口を突破)・・・
これでは高収入なんて望めるわけがないのです。
数字で世界を見ると、メディアは変な使い方をしていることに気がつきます。
たとえばみなさんのテレビゲームへのイメージっていったいどんなものでしょうか?
それは人それぞれなんでしょうけれど、
これほど悪い意味での先入観を持たれるメディアもありません。
昔から言われてきた「目が悪くなる」は王道ですし、今では「変な子に育つ」もよく聞きます。
ところが後者に関しては、取り沙汰された「バイオハザード」が
ミリオンヒットを記録したゲームだけに
5人の殺人犯が生まれたとしても、確率は1000000分の5です。
しかし0.0005%なんて、普通に考えて微々たる数字です。
むしろ100万人の都市に5人しか殺人犯がいないなら、それはかなり安全な地域です。
この数字を考えようともしないで、子供を叱る親や教育団体の方が、
その実としてメディアの影響を強く受けていると言えます。
要するに、危険性を真剣に論じていた人間ほど、そういうゲームをやった時に
皮肉にも殺人犯になりやすい素質がある人間というわけです。
そもそも殺人に対する欲求というのは、ゲームに起因するのでしょうか?
個人的には0.0005%という確率はイレギュラーの部類に含まれるのではないかと思います。
知り合いや同じ学校の生徒などに身体障害者はいないでしょうか?
200万人の人間が住む名古屋で10人しか身体障害者は存在しないと思いますか?
日本に住む障害者が総勢で500人程度だと思いますか?
人間というのは、生まれながらにしても、後天的な理由にしてもですが、
欠陥や不都合が生じる確率がないわけではありません。
故に、精神的に一般性に欠ける人間が登場したとしても、
それはなんら不思議ではないのです。
ホラーゲームが好きだから危険なのではなく、危険因子を持った人間が
たまたまホラーを取り込んだと考えたほうが正確なのではないかと思います。
ゲームの場合は数字を隠していましたが、逆に水増しとも言える方法で
数を明示するケースも世の中にはあるから注意しないといけません。
たとえば2組のカップルがA神社に初詣に行ったと仮定します。
A神社に2組とも行ったのだから、この時点での参拝者は4名です。
ところが二年参りだとすると、31日の参拝者、1日の参拝者の
両方にカウントされるかもしれません。
両日あわせて8名の方がA神社にいましたと言われても嘘ではないのです。
そのほうが賑わっている感じがでるのは間違いがないですから。
正確なカウントよりも数を多めに言いたい場合には、
各ジャンルによって特殊な方法でカウントがされているというわけですね。
就職率や就職実績は、AさんとBさんの2人がC社D社の2社を受験して
Aさんだけが両方合格、Bさんは両方不合格でも
実績にC社、D社と記載し就職率は100%になっている場合があります。
確かに合格率は2分の2だといえなくもないです。
ただ、説明するまでもなく実質の値は50%でしかありません。
資格のように1人で複数取得しても問題ないものならまだしも、
こういう無理のあるケースにも、策略として
このカウントは当たり前のように取り入れられています。
また、各学科の定員は100人と書いてあるパンフレットがあるとします。
その次のページに就職実績が書いてあったとします。
有名企業の名前がたくさん載っているそこには、よく見ると小さな文字で
「※過去10年の累計」とこっそり下のほうに書かれていたりすることがあるのです。
100人の枠内から10人も大手に就職したのかと思いがちですが、
実際は1000人から10人だったのです。
勝手に前年度100人の結果だと先入観を持った人間が悪いとも言えますが、
明らかに作為的です。
嘘ではないけれど、鵜呑みにできない数字ということになります。
情報の中には、直接関係がないものが
資料として提示されることもあるから気をつけてください。
「Bという添加物をラットに皮下注射した結果、1グラムでラットは死ぬことが判明しました。
だからBという添加物は危険です。でも当社のスナック菓子にはBは無添加なので安心です。」
もっともらしい内容に見えてしまうかもしれませんが、これも眉唾物です。
いくつ疑うべき点があるのでしょうか?
・Bが無添加であることは直接安心に結びつかない
・Bがないことでの不具合がないか述べられていない
・ラットと人間は別の生き物である
・ラットに対する致死量は人間と体重の差がありすぎるので、あまり参考にならない
・添加物は口から摂取するものであり、その他の方法(例:皮下注射)で摂取する人間はいない
・慢性的に摂取する添加物の急性的な致死量を教えられても仕方がない
ざっと挙げてもこれだけは見つかります。
Bを塩だと思って想定して考えてみると分かりやすいと思うので
極端な例文を書いてみたいと思います。
「塩という物体をナメクジに1グラムかけたら死にました。
こんな危険なものを料理に使うなんて信じられません。
だから砂糖1キロで漬物を作ることにしました。
1週間ほどして漬物になる頃合だったので、ふたを開けてみたら
変な色になっていて虫もわいていましたが、使ったのは塩じゃないから断然安心です。」
こんな文章を見たら即座にアホだとわかりますが、理論や実験結果を持ち出されると
論法が同じでも破綻していないように見えてしまうから困るのです。
他にも沢山の例があります。
ポイント2倍デーはお得に見えますが、
場合によってはその日だけ日替わり奉仕品のようなものがなかったりするので
ポイントを実際のお金に換算すると、奉仕品を買ったときのほうがずっと得だったりします。
要するに面倒でも自分で計算をしてみるのが一番ということなのです。
企業が計算してくれたもの、解説してくれたものというのは、
どこかに策略が隠れていると見て間違いがないのです。
よかったらみなさんも、データの裏に何があるのか考えてみてください。
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