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Everything
記念すべきデビューアルバムはアートワークも含めて全体的にチープな感じがする。
この当時から小林武史がついていたわけだから、
会社としては売る気があったのだろうけれど、正直なところ噛み合っていない様子。
一曲目の「ロードアイミスユー」も悲しい雰囲気の中で
シンプルにカッティングギターが鳴らされていたりしていい感じだったのに、
サビ前からへんに能天気な音階でベル系の音が乱入するなど、
小林武史の悪い癖がでている。
近年のように「君が好き」などのバラードで使うならまだしも、
この歌で使うとは・・・と思わされる。
シングルになった「君がいた夏」には充分及第点がつけられるし、
楽曲自体のセンスはいいのだから、もうすこし洗練してからリリースしてほしかったアルバム。
個人的にオススメするアルバム曲は「ためいきの日曜日」。
King of Love
このアルバムになってぐっと品質があがったと思う名盤。
次作よりも市場人気は高い。
実際に「抱きしめたい」のような数年経って不動の人気を手にした名曲も収録されているし、
全体的にレベルが高いアルバムだといえる。
まだまだ音質は安いが、前のようなチープさはない。
リリースされた年代も関係しているので、仕方がないだろう。
タイトルがしめすように収録されている歌はみんな恋愛が主題なので、
そういう歌が好きな人にはよいアルバムになるはず。
ドラムのジェンが歌う曲もあるので、彼のファンにはたまらないと思う。
個人的オススメアルバムトラックは、王道から少しずれた「ティーンエイジドリーム」あたり。
Versus
シングル曲「リプレイ」が収録されているアルバムだけど、一般人には微妙なアルバムのはず。
今となっては「リプレイ」よりもアルバム曲「LOVE」の方が、
ベストに収録されたために有名で人気かもしれないし。
そうはいっても、出来はかなりいいアルバムと言えそうだ。
ミスチルは「抱きしめたい」に続いて、
「LOVE」でもキーを最期のサビで上げる転調という技術を採用。
この後に発売されるシングルの多くに見られる手法だ。
前作と同様にジェンの歌っている曲も収録されている。
上手さはないけど、気の抜けた平和な声は、ある意味で素晴らしい。
個人的なオススメアルバム曲は結構速いギターソロをギタリスト田原健一が弾いているのに、
注意して聴いてもほとんど聴こえない「さよならは夢の中に」。
Atomic Heart
彼らの中で一番売れたアルバム。
「Cross Road」や「Innocent World」が入っているのだから当然かもしれないが。
ライブで定番になってる「Dance Dance Dance」や「ラブコネクション」が収録されているので、
そういう観点からも「買い」のアルバム。
でも今になって冷静に聴いてみると、
やけにインダストリアルなサウンドに編曲されている感じが否めない。
ミックスもどことなく散漫でぼやけた音なので、
正直名盤だけれど２０歳を過ぎてからは聴いていない。
ここまで手を加えられると嫌気がさすのは本人達も同じことだったのか、
この後ミスチルは迷走し「深海」という問題作を作ることになる。
自我が芽生える前の従順だったミスチルをどう評価するかによるが、
レベルの高いアルバムなのは間違いない。
オススメアルバム曲は、ジェンのパーカッションがちょっと能天気な「Over」。
深海
一気にディープなロック路線にミスチルが変わった問題作。
全体的な印象は暗い。
音作りはバンドとしてのアンサンブルが前作よりも重要視されている。
とくにジェンのドラミングは重々しくなっている。
ずっと表情豊かな演奏になってきているので、そこは聴き所。
それに「虜」のように３／４拍子で書かれた歌があるのも、このアルバムのおもしろいところだ。
挑戦作だが、決して失敗作になっていないところがミスチルのすごさ。
このアルバムくらいからボーカルに感情表現が強く見られるようになってくる。
彼らの成長がわかる点でも面白い作品だ。
個人的なオススメアルバム曲はギタリストの田原健一が後半めずらしく弾きまくる「深海」。
ボレロ
向日葵の中に立っている女の子が印象的なジャケットのアルバム。
出た当時にベスト盤とまで言われただけのことはあって、
シングルが沢山入っているアルバム。
その分、イメージが「深海」のようにコンセプチュアルと呼べる確固としたものではない。
ただ「es」や「Tomorrow never knows」といった大ヒットシングルがあるので
聴くべき要素は満載だ。
酷い話だがシングルの「Tomorrow never knows」は
ドラムのジェンが力量不足と言われたのか、打ち込みだったという背景がある。
「ボレロ」に入っている「Tomorrow never knows」が
Remixと表記されていることには気づいた人も多いだろう。
このバージョンの違いはパッと聴いても判らないかもしれないが、少しドラムパターンが違う。
こちらはジェンが叩いているので聴き比べるのも面白い。
オレ個人としては、このメンバーを切ってまで曲をリリースさせてしまう
小林武史を含めた周りのプロデュース政策は正直なところ感心しないので、
ジェンの快挙は嬉しいかぎりだ。
個人的なオススメアルバム曲は「ALIVE」。
Discovery
復活第一弾のアルバムはヒット曲「終わりなき旅」が入っている名盤。
この「終わりなき旅」などはサビのキーが二回変わっている
（つまり３種類のサビがあるという）こだわりの曲。
アルバム全体は一度聴いただけだとパッとしない感じがするが、佳曲が多い。
また「深海」のような全体を通したコンセプトはないうえに曲調も様々だが、
そのわりに統一感がある点で、無意味に編曲を壮大にしなかった
彼らのスタンスは正解といえる。
オススメアルバムトラックは、一回聴いただけでは冗長で印象が薄くなりがちな
暗いアルバムの雰囲気を最後に昇華させている「Image」という歌。
曲のイメージが変るほどの怒涛の展開が待ち受ける曲だが、
楽譜上ではメロディーは展開前と全く同じもの。
同じメロディーをここまで違った雰囲気に聴かせる手腕と、
そこに流れ込む瞬間のギターによる重いパワーコードが秀逸。
1/42
限定発売されたライブアルバム。
そういっても３０万枚発売されたので、彼らの強気な姿勢を見ることができる。
アルバム自体は、ベスト選曲に最新のアルバムからのチューンが多めに加えられた
セットリストなので、聴きごたえはある。
ただ、ミスチルは技巧派のバンドでないだけに、演奏は本来のCDよりも荒い感じ。
「Everything(It’s you)」などは長いギターソロのメドレーが聴ける名曲だが、
これのパート分けにも些か疑問を感じる。
ライブで聴く限りギタープレイが丁寧なのは、やはりギタリストの田原健一だ。
だが実際に目立つソロを弾くのはボーカリスト桜井和寿。
本業でない上に歌まで歌わなければならない彼がそこまでやるのは、
彼の性格なのか、会社の政策なのかまではわからないが、本当に得策と言えるのか？と思う。
このCDを聴いていると編集で加工できないだけに、
なにも難しくて長いソロを彼が演奏する必要がないと感じた。
ただ手抜きせずに声が裏返るまで必死に歌うスタンスは素晴らしいし、
「ラララ」から繋がる名曲のラッシュもよいので聴く価値は充分にあるアルバム。
Q
偶然性に委ねてステレオタイプから脱却しようとした作品。
物議を醸すかもしれないが、個人的にはすこし失敗作。
もちろん聴きこめる要素も多いし、名曲もあるのだが、
コード進行を偶然性に委ねたことによって
今までのミスチルよりもずっとサビ前のメロディーが単調になっている。
要するに、コードのルート音にそった平らなメロに
早口な歌詞をのせただけのスタイルが増えてしまったのだ。
ただ「十二月のセントラルパークブルース」のような妙に面白い歌も入っていたりするので、
決して悪い作品ではない。
ミスチルというアーティストとしては若干ハズレのアルバムに思えるが、
音楽として捉えると完成度は依然として高い。
このアルバムから特にボーカル表現が柔らかく、伸びやかになったうえに、
編曲もアグレッションを上げすぎたり、機械的な音色に頼りすぎたりすることもなくなり、
ミスチルとしてのサウンドを構築できるようになった。
現在の音色の起源といえる。
オススメアルバム曲は、壮大だが歌詞は大仰になりすぎないでまとまっている「Hallelujah」。
Mr. Children 1992〜1995
前期の作品を集めたベストアルバム。
通称は何故か「肉」という。
勢いがあった時期の作品なのでさすがにクオリティは抜群だ。
価格も抑えてあるが、おまけ要素はないので入門向けのアルバムでしかない。
聴いた限りでは、再録音やリマスターはされていないようなので、
他のアルバムをもっているファンには無用の長物。
昔の音源は若干だが貧弱なサウンドなので、リミックスなどをしてくれると
ファンにも価値が高まると思うが、とくにそういう配慮はされなかった。
一応ブックレットが付いていてミスチルの歴史を知ることができる。
売り上げのうえでは後期のベストよりも売れた。
１〜１０曲目 １１〜１３曲目 「Mr. Children」公式HP
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